世界の巨匠の巨匠たる由縁
今村昌平。この人の映画を正当に紹介出来るほどの筆力のある関連文を私はいまだ見たことがないです。大島渚の映画には素晴らしい評者がおり、また大島渚自身が最も分かりやすい自作評を残しているのに対して、今村作品には紋切り型の評しかないのです。今村昌平自身、撮影時の苦労だとかエピソードについて語ってくれはしますが、作品の深淵については「そんなもの映画を見ろ」と言わんばかりにすっ飛ばしています(それはこのBOX中の特別対談を見れば明らか)。 そのために、これだけの国際的な名声にもかかわらず彼の作品は理解されていないし、そのためだけとは言えませんが、彼の映画を見た人は少ないのです(きっと一番目に触れられている映画は『にあんちゃん』や『黒い雨』の様な「教育的」映画だと思われます)。しかしそれはとてつもなく勿体ないことです。世界的な映画表現の中で頂点に近づいた人達は日本にも何人かいますが、彼は紛れもなくその中の1人なのです。 このBOXには今村昌平が世界でも最も先鋭的だった頃の、もの凄いとしか言いようのない作品群が収められています。私も今回初めて『神々の深き欲望』を見ましたが、もうただ圧倒されるばかり。色々な意味でこの映画は彼の作品の頂点であるとも考えられます。そして大島渚が沖縄を題材にした『夏の妹』とこの作品を比べた時に、今村昌平という作家の特性と目指したものと、そして何故彼が国際的な名声を得るに至ったのかがよく分かるのです。 しかし私ごときがああこう語ってもこの作品群の前ではむなしい限りです。今村昌平が「モノゴトをまるごととらえ」ながらもスタイリッシュに映画化した、この凄い作品達を是非見て欲しいです。映画でこんなことが可能だったんだ! と、驚嘆すること請け合いです。
ジェネオン エンタテインメント
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